惹湯報告Vol.142 『指名手配 G32逮捕』

駆け上がった坂の上には、荒涼とした世界が広がっていました。
夕暮れが近づき、よけいに寒々しく映ります。
しかし、何処からか激しく『ブォ、バシュッ、ブシューーッ』
エイリアンの鼓動のように、山あいに木霊しています。
ガレ場を登り枯草を掻き分け進むと、音が近づいてきました。
気がつけば沼地に足首が埋まり、着ている白いポロシャツは
あちこち汚れ、雑草の種もビッシリ。何かで、手も切ったようです。


視線の先に、勢いよく噴き上がる温泉。やっと、君に逢えたね。
ものすごい噴射音を響かせているのに、奇妙な静寂に包まれています。
辺り一面、真っ白な竹林の世界。温泉成分でコーティングされた廃竹は
踏むとポキポキ音を立てて割れ、不気味な感触でした。
あまりの濃い温泉成分の為か、湯小屋風の建物も白く朽ちています。
噴射口も、いつかスケールで塞がってしまい
二度と逢えなくなる日が来るのかな・・・・・。
アレ? 見つめている先の噴射音とは違う叫び声が、聞こえてきました。