『こんちわー、ゴメンくわさ〜い』
呼べど叫べど、昼下がりの貸間旅館は静かです。
柱時計の刻む音だけが、玄関先に響いています。
しばらくして、ようやくおジイちゃん・・いえいえ、ご主人登場。
『なんな』 『お・お風呂に入らしちょくれ』
『うちは泊っちょんし(氏)しか入れんきな、日帰りはしちょらんので』
『ウグッ!そこを何とかよしなに・・・』
事のやりとりを聞いていたおバアちゃん・・いえいえ、女将が口をはさみます。
『どうせ誰もおらんのやし、いいやろ。ジイちゃん入れちゃりよ』・・・♪
お湯を口に含めば、鉄輪特有の和風お味。美味しいね。
窓の外は木枯らしなのに、体も心もホコホコの温泉タイムでした。
帰りしな、ちょいと気になっていた事をお聞きしました。
『ああ、あれな。Mさんちの風呂でぇ』 『・・・フムフム』
貸間旅館の渋いお風呂もいいけど、そっちもいいね。
青ちゃん、次のうれしい宿題にウフフと顔がほころびました。