散策途中、なぜか気になって左に曲がった。
『 まっすぐ行こうえ〜 』 一緒に歩くすなおちゃんの意見を無視して・・・。
正面に青トタン、傍らに源泉の井戸も発見。
さっそく、現地調査開始。『 お母さ〜ん。あん温泉は生きちょんの? 』
『 うちかたと、隣ん2軒で使いよん。ところで、あんたら何モン? 』
『 温泉掘る時に、建屋がねぇと許可が下りんち言われてなぁ 』
『 流川から廃業した旅館を移築して、アパートにしたんで 』
『 今は婆ちゃん達が住んじょんだけで、だーれ来やせん、借り手もねえなった 』
『 たまーに不動産屋の紹介で見に来てん、幽霊屋敷ちゅうてな・・・ 』
『 あんたは話してて悪い人じゃねえち思えたけん・・・ 』 『 ありがとうございます 』
案内された浴室、セルフのセットももどかしく堪らずに飛び込んだ。
季節をつなぎ暮らしをつなぎ、時間の錆びを身につけてもなお踏ん張っている。
『 これな。40年ここに住んだ人が、子供の時に書いた落書き 』