この話は、あるきっかけでAさんのお宅を訪ねた事から始まります。
昨日からの雨もあがった薄曇の雨水前日、庭先の梅が淡い色で迎えてくれました。
『こんにちはー』 『おー、よう来たな。はよ、上がりよ』
物騒なご時世なのに、気持ち良く一人住まいのご自宅に上げていただきました。
旧大分中学(現:大分上野丘高校)から旧大分高等商業学校(現:大分大学経済学部)卒。
昭和14年、大分連隊から見習い士官として招集され
小(少尉)・中(大尉)・大隊長(少佐)を歴任。中国で約4年半、戦地経験。
昭和19年3月、内地転属命令を受け帰国。同年7月結婚して、別府で居を構える。
結婚のお相手は、姫野レンタンの長女。Aさん曰く『お嬢さんでなー、可愛かったー』
『羨ましいですね』 『違ごうんじゃ、当時は男が少なかったけんな』 『・・・・・?』
ストーブや電気コタツのない時代、この業界は大盛況。
練炭や豆炭が、作る端から飛ぶように売れたとか。
そんな家業が実家の奥様24歳、Aさん28歳の新しい旅立ちでした。