お昼寝マンボウの日記

温泉・花たび・お外でランチ、とにかく何でも興味ありのデベソおいさん。日々の、拙い出来事を記録しちょります。

惹湯報告Vol.123 『S温泉』

『ゴメンくださ〜い』 『は〜い、誰かぇ』 『バカ坂で〜す!』
『あらら、今までおっちょったんに。お父さん何処へ行ったんかぇ』
『・・・?・・・あのぉ、温泉があると聞いてきたのですが・・・』
『いいでぇ、温いからボイラーのスイッチを入れよ。お父さん、すぐ戻るけん』
『・・・?・・・あのぉ、別に温くても構いませんよ。このままいただきます』
なんかチグハグな会話ですが、どうであれ個人宅の温泉をいただけるのは
うれしいことです。バルブをひねれば、冷たい温泉が勢いよく注がれます。
体感30℃、あるかな。でも、加温する気はありません。このままザンブです。
甘く焦げた香りが、小振りながらりっぱな浴室にふーんと漂い
薄い番茶色のお湯に包まれる、幸せな時間に感謝。


『なんな、バカ坂さん違いかえ。日田にな、同じ名前ん知り合いがおるきな』
ご主人が笑いながら麦藁帽子をとり、首タオルで汗を拭いました。
初めてお邪魔したお宅、何か変だなと思っていたのですが、謎が解けました。
『あんた、ちょっと待ちよ』お婆ちゃんが、小走りで畑のほうへ走っていきます。
納屋の庭先には、ネコに乗せられたバランに真っ赤な天日干しの唐辛子。
藤棚から下がる、藤豆の鮮やかな緑色。黄金に色づいた稲は
刈り取られる日を待っています。ほどなく、お婆ちゃんが、戻ってきました。
『はいこれ!持って帰りよ。今年は表だったんで、うんとできたんで』
枝つきの里柿は淡い夕焼け色、遠慮なく頂戴いたします。
突然の厚かましい輩を快くお招きいただき、ありがとうございました。
でもぉ、勘違いされるほど似てたのかなぁ、最後まで『・・・?・・・』でした。