今回で3度目、相変わらず番台のおばあちゃんは居眠り中です。
湯銭を払い脱衣所に立てば、枡箱も効能書きも以前と変わらないそのまんま。
何か言いかけたおばあちゃん、コタツの天板を支えて立ち上がろうとしたけれど
眠そうな眼をして再び座りなおしました。
置かれていた大き目の竹コップでお湯を一口、トロリと濃い目のダシ味です。
朝陽を受けて輝くお湯に体を沈めれば、熱めの食塩泉が沁みこみました。
『 アンタ、何処から来たんね 』 『 べ・・・ 別府です ・・・ 』
『 そんなら、そっちには温泉がたくさんあるやろうに 』
『 いえいえ、このお湯に会いたくて来ました 』
『 よか湯やろ。ワシは、一日一回は入らんと落ち着かんよ 』