ウーっ。 オラが・・・湯守の爺じゃ。
こげん辺鄙な所に、よう来てくれたなぁ。
ああ、あれかえ。後ろに見ゆるんが源泉、あっこから引っ張っちょんので。
昔んごとねぇ、今はようよこ3軒だけで使いよん。
お湯は温くなってしもうたし、見てのとおりオンボロ。
残念やけど・・・、こん風呂は今日でお終い。
ワシも歳をとったけん、ボチボチやるわ。
湯銭? そげなもんは、いらんで。 ゆっくり、していきよ。
透き通ったお湯が静かに注がれ、静かに流れ出て行く。
やわらかく抱きしめられれば、何もいらない。
全てが永遠でない事を、今さらのように知る。
大地に友に、そして今日の出会いに・・・ありがとう。