お昼寝マンボウの日記

温泉・花たび・お外でランチ、とにかく何でも興味ありのデベソおいさん。日々の、拙い出来事を記録しちょります。

お元気ですか

今日は休みだったので、港町にある温泉銭湯へ行ってきました。口開け間もないせいか、脱衣所には何方もいません。服を脱いで湯船に続くガラス戸を開けると、おじいちゃんが1人だけくつろいでいました。
『こんにちはー』
ご挨拶して、さっそくお湯に浸かりました。明るい浴室に響く挨拶は、気持ちいいものですね。うーん、いい休日です。

『あんた、見かけんけど何処んしかえ』 
ほらきたぞ、予想はしていました。軽くジャブの応酬のようです。
『市内ですけど、ここは久しぶりに来ました。』
『ほーっ、・・・ほーなっ』
何がほーっなのかよく判りませんが、おじいちゃんは次の質問を考えているのでしょうか、のぼる湯気の先を見つめています。
『ところであんた、現役かえ?』
『えっ・・・!?』 
な、何っ? いきなりのカウンターパンチです。ちょっと待っておくんなまし、うろたえながらまさかと思うけど、頭の中をグルリン、グリコとあらぬ想像が猛スピードでかけめぐります。そりゃあ私40とうん才だけどぉ、病気らしい病気もなく元気なほうでぇ、食べ物は好き嫌いなしで何でもおいしくいただいてますしぃ、そしてぇ芋の焼酎が大好きです・・・。
『イヤんイヤん!恥ずかしくて言えないわん、まだ外は明るい、ですもん』
主語がないじいちゃんの質問、意味がわからなくて返事ができません。
『あんナ、わしナ、仕事を引退してから、一番風呂に入るのが楽しみでナ』
ああ、そうなのか。妙に納得です。あっちの現役でなくて、こっちの現役だったのですね。あせった私が、早とちりのお馬鹿ルンルンでした。
『あんたがこげぇ早よう来ちょんから、てっきり引退しちょんのかと思うた』
何をおっしゃいますやら、まだそっちは現役ですよ。元気にバリバリと仕事をさせてもらっています。じっちゃん、そんなに私が老けて見えますか?もっと話したがっているような、何かを企んでいるような目つきでしたが、
『ほな、わし、先に上がるで』 ありゃりゃ、肩透かしです。

じいちゃんは水道の蛇口の前で中腰になり、洗面器に水を入れはじめました。おや、おや?何をするのでしょう。タオルをすすぐようにも見えませんが。洗面器が一杯になるとやおら立ち上がり、 『いえいっ!!』 ・・・・・。
気合一発、下半身に水をぶちまけました。いくら風呂上りとはいえ2月です。しばらく腰手の状態でお腹の下あたり、とある一点を見つめています。一息ついて再び同じことを数回繰り返し、
『おーしっ!よっしゃあ!』
雄叫びをあげて浴室を出て行きました。何ーんだ、あれ? なんと、お達者なおじいちゃんでしょう。 ・・・ん?いや、待てよ。さっきのは、こっちではなくて、あっちの話?んなことはないだろうけど、まさか。ううむ、もうややこしいじっちゃんだな。あっちかこっちか、はたまたそっちなのか、再び頭の中がゆっくりとしかし確実にグルリン、グリコと回転をはじめました。じいさんの企み、あのこしゃくなパフォーマンスにすっかり当てられ今日のお湯は、のぼせてしまいそうです。