お昼寝マンボウの日記

温泉・花たび・お外でランチ、とにかく何でも興味ありのデベソおいさん。日々の、拙い出来事を記録しちょります。

人生いろいろ

お世辞にも綺麗ともおしゃれとも言えない、大分市内の温泉銭湯『S温泉』。けれど醤油色のモール泉がジャンジャン掛け流され、とても贅沢に温泉を満喫できるし、夜遅くまで営業しているのでマンボウは時間を気にせずに、結構足繁く利用している。今日も残業の後、風呂グッズを片手に行ってきた。最近、有線が流れていないのが気になるが、いつもは決まって『かぐや姫』の懐かしいフォークソング。これを聞きながら風呂でくつろぐのも、ここに来る楽しみの一つだった。時には季節バージョンだってあるんだ。今日ここで、『モーやん』に会った。何故こう呼ぶのかは解らないけれど・・・。子供の頃、そろばん塾に行くと必ず近くの防空壕に住んでいたルンルンさんを、まるで珍しい生き物でも見るように覗きに行った。当時僕らは『おもらいさん』や、『ほいと』『ルンペン』などと呼んでいた。今思えばとても失礼な話だよね。でも興味は憧れの裏返しなのか。高校生の頃、林某さんという生活放浪者の著書、『ルンペン日記』(だったかな?)を読んでカルチャーショックを受け、20代後半までヒッチハイクで野宿をしながら、ルンペン擬似体験をした。モーやんの顔は見知っていた。よく大分と別府の海沿いの国道を家財道具一式持って歩いていた。市内でも何度か見かけた彼が、今この温泉にいる。今日の陽気には、不似合いな厚手のコートや冬物のシャツが脱衣カゴにきちんとたたまれ、その脇に着替えの真新しい下着と洗面用具が見えた。名前も知らないモーやんご免ね。あなたの持ち物を覗いて・・。『こんばんは』、私のかけた声に一瞬戸惑ったような黒い瞳が返事なのか、うつむき加減にそそくさと湯船に足をはこんだ。後からわたしも洗い場につづく。彼は一足先に湯船に入り、背筋を伸ばし体操座りのように膝を曲げ静かに目を閉じていた。すぐ傍の大型スパ銭湯のA温泉とは、生活の匂いが少しばかり違う人たちが、不思議にこのS温泉に集まってくるような気がする。息子の嫁に邪険にされたのを愚痴る自治会長、いつ会っても同じ話ばかりの元中学校長だったじいちゃん。開店すぐは、お墨の迫力あるお方達(複数)もいらっしゃられます。(なんでここだけ丁寧語なんだい!)ただ、湯船の大きさが人と人を近づけるのだろうか。ここではいろいろな話ができるし、お互いが裸になって気兼ねなく同じ時間を共有している。S銭湯で擦れ違う人達との出会いは、過去も今も肩書きもしがらみも何もなく、無垢になれるすてきな空間だと、今日気づいた。

『♪人生いろいろ・・・いろいろ咲き乱れるのよ〜ン♪』