『 ほおらもう、うーんと店があっちな。
魚屋だけでん3〜4軒、
そん角は肉屋じゃったんで 』
ここは、NTT別府の下辺り。
流川通りから路地に一歩入ると薄暗く、
通り抜けるのも何となくコワゴワの粗末な木造りのアーケード街。
局番なしの電話番号を掲げた看板は3ケタ、
色褪せた建物に同化しようとしています。
このまま自然に朽ち果てるのを待っているのでしょうか、
そんな事などお構いなしの様子で、お爺ちゃんは話してくれました。
『 近所にスーパーが出来ちな、それから人がこんごとなった 』
昭和45半ば頃までは、買い物客でいっぱいだったそうです ・・・ 。
時代から取り残されてしまった、細く入り組んだ路地の商店街。
無頓着で投げやりに見えるこちら、生活の残り香がありました。
『 いろいろ言わんじいいけん、風呂でん入って帰りなぃ 』
『 はい! 』