玄関の写真を撮るだけの目的で車を止め、1枚だけシャッターを切りました。
『 よろしければ、中もご覧になりません? 』
振り返ると、館長の高橋さんがにこやかに微笑んでいます。
『 たった今、東京から戻ってきたの。またすぐ出かけるけど、それでもよろしければどうぞ 』
聴潮閣は昭和4年、別府市商工会議所の初代会頭であった高橋欽哉氏の
自邸兼迎賓館として浜脇に建造されました。
別府湾が足元の立地、潮騒が心地よく聞こえていた事でしょう。
貴重な昭和建築が保存される事もなく次々と消える中、平成元年に青山へ居を移し
茶寮泉孫 ( いずまご ) として生まれ変わりました。
平成13年から行なわれていた一般公開は、今年4月から10人以上の予約制へと変更。
それなのに、たった一人の飛び込み客を快く向かてくれた事に驚きです。
邸内の説明を、きれいな日本語で穏やかにゆっくりと・・・。
『 10月、湯布院美術館でステンドグラスの写真展を開くの。見に来て下さる? 』
(浴室のステンドグラス)