『 さてと、そろそろ行くかえ 』
義弟の掛け声で、近くにあるお墓へ歩いて。
周辺を掃除して、送り火。
傍らに眠る、無縁仏様にも。
炎がお義母さんやご先祖さんを連れて、空に帰っていく・・・。
来る時は気づかなかったけれど、いつの間にか夕刻。
久住の山向こうへ、少しづつ日が沈みはじめている。
道すがら、田んぼの畔にキツネノカミソリ。
実家に帰りつく頃には、青い稲に森の長い影。
後片付けがあるお母ちゃんを残し、一足先に帰宅。
ご近所の迷惑にならないよう、松明を小さく削って陶器の器に。
玄関で火を点け、その後階段の踊り場へ。
『 何をされているのですか? 』
その様子が気になったのか話しかけてきたのは、仕事帰り娘の同級生。
『 また会おうねって、送り火をしているんですよ 』