お昼寝マンボウの日記

温泉・花たび・お外でランチ、とにかく何でも興味ありのデベソおいさん。日々の、拙い出来事を記録しちょります。

惹湯報告Vol.464 『 追懐の湯 』

宴が終わり、おのおの散っていく修行僧たち。
己の宿坊は町はずれ、急ぐ身に夜風が冷たい。
昭和30年開業、55年改装。この辺りでは、貴重な自家源泉を所有する。
媚る様子は微塵もない乱雑なロビー、週末なのに客の気配をまったく感じなかった。
お世辞にもきれいと言えない部屋は、湿った空気の中にカビの匂いも混じる。
しかし酔いどれ坊主に、体を温めてくれる温泉さえあれば・・・それだけでいい。


浴室は、帳場横の太鼓橋を渡って旧館へ。
ステンドガラスにレリーフガラス、角丸の踏み板が心和む階段。
なによりも素晴らしいのはタイル、手洗い場まで丁寧な職人仕事。
脱衣場の造作、扉の取っ手、全てが当時のままなのだろうか。


どっぷり浸かれば、薄緑色に濁った熱めのお湯が沁みいる。
丸い湯船、追憶の瀧見温泉に再会した気分。宿を、ここにして・・・よかった。
    
湯上りに窓を開ければ、遠くでグォーングォーンとお湯を汲み上げる音が聞こえる。
それはうれしい誤算、明日の行乞が楽しみ。ああ・・・合掌 ♪